長崎県21市町の公営墓地、返還のルール|原状回復を条例に書いていたのは8市町

長崎県内の全21市町について、市や町が管理する墓地(公営墓地)を返すときのルールを、各市町の例規集で1件ずつ確認しました。返還するときに墓地を元の状態に戻す(原状回復)と条例に書いていたのは8市町、一定の期限内に返せば使用料が一部戻ると書いていたのは5市町でした。墓石の撤去費用は、公営墓地では原則として使っていた人の負担です。

この記事の範囲:市や町が設置・管理する墓地の条例だけを見ています。地区や自治会が管理する共同墓地、お寺の墓地には、ここに書いたルールは当てはまりません。確認日は2026-09-14です。条例は改正されることがあるため、返還の前に必ず墓地の管理者へご確認ください。

墓じまいで公営墓地を返すとき、何が決まっているか

公営墓地の条例には、おおむね次の3つが書かれています。

  • 原状回復:墓石や外柵を撤去して、区画を元の状態に戻してから返す
  • 原状回復をしなかったとき:市や町が代わりに撤去し、その費用を使っていた人に請求する
  • 使用料の還付:一度払った使用料は原則戻らない。ただし「◯年以内の返還なら一部戻す」と定める条例がある

つまり、墓じまいの見積を取るときは「区画を更地に戻すところまで含まれているか」を確かめる必要があります。墓石を運び出すだけで区画の基礎や外柵が残っていると、原状回復が済んだことになりません。

原状回復を条例に書いていた8市町(ほか一部に規定1市)

市町 条例 返還時の原状回復 例外 出典
長崎市 長崎市有墓地条例 利用を終えたときは、直ちに係員の指示に従い原状に復す(第11条) — 例規集
佐世保市 佐世保市霊園条例(佐世保市民霊園) 不用になったときは原状に復して市長に返還。一部だけの返還は認めない(第16条) — 例規集
五島市 五島市岐宿墓地条例 利用を終えたときは速やかに原状に回復する 指定管理者の承認を得たときは、原状回復をしなくてよい 例規集
諫早市 諫早南墓園管理条例 返還するときは原形に復す(第13条第2項) 市長の承認を受けたときは、承認の限度とできる 例規集
雲仙市 雲仙市有墓地の設置及び管理に関する条例 改葬等で不用になったときは原状に回復して市長に返還 — 例規集
西海市 西海市営墓地霊園の設置及び管理に関する条例 不用になったときは遅滞なく原状に回復して返還。費用は利用者負担(第15条) — 例規集
波佐見町 波佐見町霊園条例 不用になったときは原状に復して町長に返還。一部だけの返還は認めない — 例規集
東彼杵町 東彼杵町上杉墓地設置及び管理条例 不用になったときは原状に復して町長に返還 — 例規集
島原市 島原市有明町墓地設置及び管理に関する条例 使用許可を取り消されたときは原状に復して返還(自分から返還する場合の原状回復の規定は確認できず) — 例規集

例外を書いていたのは五島市・諫早市の2市です。管理者の承認があれば、区画をすべて元に戻さなくてよい場合があります。墓じまいの前に、どこまで撤去が必要かを管理者に聞く価値があります。

長崎市・五島市・西海市は、使っていた人が原状回復をしないときは市(指定管理者)が代わりに行い、その費用を請求すると書いています。撤去をしないまま返しても、費用の負担は無くなりません。

条文(原文)

上の表の要約のもとになった条文です。すべて各市町の例規集のページに書かれている文をそのまま写しています。

長崎市(長崎市有墓地条例)

利用者は、墓地の利用を終わつたとき、又はその利用を取り消されたときは、直ちに係員の指示に従い、その利用の場所を原状に復さなければならない。

佐世保市(佐世保市霊園条例(佐世保市民霊園))

使用許可を受けた墓地が不用になつたときは、使用者はこれを原状に復して市長に返還しなければならない。

五島市(五島市岐宿墓地条例)

その利用しなくなった墓地を速やかに原状に回復しなければならない。

ただし、指定管理者の承認を得たときは、この限りでない。

市内の公営墓地のうち、岐宿地区の墓地を対象にした条例

諫早市(諫早南墓園管理条例)

使用者は、墓地を返還するときは、これを原形に復さなければならない。

ただし、市長の承認を受けたときは、承認の限度とすることができる。

市営諫早南墓園を対象にした条例

雲仙市(雲仙市有墓地の設置及び管理に関する条例)

利用者は、利用許可を受けた墓地が改葬等によって不用になったときは、これを原状に回復して市長に返還しなければならない。

西海市(西海市営墓地霊園の設置及び管理に関する条例)

利用許可を受けた墓地が不用になったときは、利用者は、遅滞なくこれを原状に回復して市長に返還しなければならない。

西海市には市営墓地霊園の条例のほかに「西海市有墓地利用条例」がある。ここで扱うのは市営墓地霊園

波佐見町(波佐見町霊園条例)

使用許可を受けた墓地が不用になったときは、使用者は、これを原状に復して町長に返還しなければならない。

東彼杵町(東彼杵町上杉墓地設置及び管理条例)

使用者は墓地が不用になったときは、原状に復して町長に返還しなければならない。

上杉墓地(高速道路建設に伴う代替墓地)を対象にした条例。施行規則に定める還付率は出典ページで確認できなかったため載せていない

島原市(島原市有明町墓地設置及び管理に関する条例)

前項の規定により使用許可を取り消されたときは、使用者は直ちにその墓所を原状に復し、市長に返還しなければならない。

旧有明町地区の市営墓地が対象。旧島原市地区の市営墓地の条例は確認できなかった

使用料が戻る期限を書いていた5市町

どの条例も「既に納めた使用料は返さない」が原則です。そのうえで、次の市町は期限内に返還した場合の還付を定めています。お墓を建てる前、または建ててすぐに返す場合の規定なので、長く使ってきたお墓の墓じまいで戻ることはほとんどありません。

市町 還付の条件(要約) 原文
佐世保市 3年以内に場所の全部を使用せず返還したとき等は、使用料の全部又は一部を還付できる(第22条) 既納の使用料は、還付しない。ただし、墓地の使用許可を受けた後3年以内に場所の全部を使用することなく返還したとき
雲仙市 利用許可後3年以内に返還したとき等は、使用料の全部又は一部を返還できる 墓地の利用許可を受けた後3年以内に返還したとき、又は市長が特別の理由があると認めたときは、使用料の全部又は一部を返還することができる。
西海市 利用許可後6年以内に返還したとき等は、使用料の全部又は一部を還付できる(第19条) 墓地の利用許可を受けた後6年以内に返還したとき、又は市長が特別の理由があると認めたときは、使用料の全部又は一部を還付することができる。
波佐見町 3年以内に場所の全部を使用せず返還したとき等は、使用料の一部を還付できる 墓地の使用許可を受けた後3年以内に場所の全部を使用することなく返還したとき
島原市 墳墓を建てずに4年以内に返還したとき等は、使用料の一部を還付できる 墓所の使用許可を受けた後墳墓を建設しないで4年以内に返還したとき

長崎市・五島市・諫早市・東彼杵町は、期限は書かず「原則返さない。特別の理由があるときだけ」という書き方です。

使用者向けの条例が見つからなかった7市町

次の市町の例規集で見つかったのは、墓地を経営するときの許可の基準を定めた条例だけでした。市町営墓地を使う人が返すときのルールを定めた条例は見つかりませんでした。市町が管理する墓地が無い、または地区や自治会の墓地が中心である可能性があります。

川棚町には川棚町共同墓地管理使用条例がありますが、返還時の原状回復の規定は見当たりませんでした。町が管理する共同墓地の条例。定めているのは使用料(1体100円)など。

確認できなかった4市町

  • 平戸市:例規集で条例の名前は確認できたが、本文を開けず規定の中身は確認できていない
  • 松浦市:公式サイトに例規集が見当たらず、公式の情報源で本文を確認できなかった。大学の条例アーカイブには本文があるが、当サイトは公式の情報源だけを使うため載せていない
  • 大村市:公式サイトの墓地に関するページは取得できなかった(HTTP 404)。例規集でも市営墓地の使用者向けの条例は見つからなかった
  • 新上五島町:例規集で条例の名前は確認できたが、本文を開けず規定の中身は確認できていない

確認できなかったことは、ルールが無いという意味ではありません。墓地の管理者へ直接お問い合わせください。

よくある質問

長崎県で公営墓地を返すとき、墓石の撤去は必要ですか?

条例に原状回復を書いていた8市町では、墓石や外柵を撤去して区画を元の状態に戻してから返すのが原則です。五島市と諫早市は、管理者の承認があれば例外を認める規定を置いています。

公営墓地を返すと、払った使用料は戻りますか?

原則として戻りません。例外として、佐世保市・雲仙市・西海市・波佐見町・島原市は一定の期限内(3〜6年以内など)に返した場合の還付を定めています。長く使ってきたお墓の墓じまいで戻ることはほとんどありません。

原状回復をしないで返すとどうなりますか?

長崎市・五島市などは、使っていた人が原状回復をしないときは市や指定管理者が代わりに行い、その費用を請求すると定めています。撤去をしないまま返しても費用の負担は無くなりません。

お寺の墓地や地区の共同墓地も同じルールですか?

違います。ここで調べたのは市や町が管理する墓地の条例です。お寺や地区・自治会が管理する墓地は、それぞれの管理者の決まりに従います。

調べ方

長崎県内の全21市町について、市町営墓地を使用者が返還するときの規定を各市町の例規集(公式)で確認した。調査員(サブエージェント3体)が条文を集め、当編集部が全出典URLを取得して、引用した条文がページに実在することを文単位で機械照合した。調査員が引用に付け足した注記(条番号の前置き・「(前条の続き)」など)は照合で外れたため取り除き、要約だった引用(東彼杵町の施行規則の還付率)は載せていない。

「規定なし」「確認できず」は、公式の例規集で見つけられなかったという意味で、その市町に公営墓地が無い・ルールが無いことの証明ではない。地区や自治会が管理する共同墓地、寺院墓地には市町の条例は適用されない。

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