墓じまいの基礎

墓じまい業者はどう選ぶ?20社中16社が行政書士の在籍・提携を明記していない

結論から言うと、墓じまい業者を選ぶときに最初に確認すべきなのは料金ではなく、改葬許可の申請手続きを誰が行うのかです。改葬許可申請の代理・代行は行政書士の独占業務ですが、編集部が調べた20社のうち、行政書士の在籍または提携を明記していたのは4社だけで、残る16社は明記していませんでした。

この数字の読み方:これは各社の公式サイトに記載があるかどうかを記録したものです。記載がないことは、行政書士が関与していないことや、違法であることを意味しません。実際の体制は各社に直接ご確認ください。調査範囲は2026年8月時点の掲載20社で、掲載事業者が増えてもこの記事の数字は書き換えません。

墓じまいの業者選びで最初に確かめてほしいのは、料金でも実績件数でもありません。市区町村への改葬許可申請を、誰が行うのかです。

編集部が墓じまい代行事業者20社の公式サイトを1件ずつ調べたところ、20社のうち16社は、行政書士の在籍または提携を明記していませんでした。この記事はその調査結果と、公式サイトを読むときに紛らわしかった実例をまとめたものです。

なぜ資格の話から始まるのか

お墓を引き払うには、墓石を撤去する前に、いま遺骨が納められている墓地のある市区町村長の改葬許可が必要です(墓地埋葬法)。この改葬許可申請書を、他人の依頼を受けて報酬を得て作成することは、行政書士の業務と定められています。

  • 行政書士法1条の2 — 行政書士は官公署に提出する書類を作成することを業とする
  • 同19条1項 — 行政書士でない者は、業としてこの業務を行うことができない
  • 同21条 — 違反した場合の罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金

一方で「墓じまい代行」を名乗っている事業者の多くは、石材店や供養関連のサービス事業者です。工事の担い手であることと、行政手続きの担い手であることは別の話です。

調査結果: 20社のうち明記は4社

公式サイトでの記載 社数
自社に行政書士が在籍と明記(行政書士事務所・行政書士法人が運営主体) 3
提携行政書士に依頼すると明記 1
行政書士に言及はあるが、在籍か提携かを判別できない 1
在籍・提携の記載を見つけられなかった 15

ここで大事な留保を2つ書きます。

記載がないことは、違法の証明ではありません。申請書の作成そのものは依頼者本人が行い、事業者は書類の取り寄せ方を案内しているだけ、という形もあり得ます。当サイトは個別の事業者について適法性を判定していません。記録しているのは「公式サイトに何が書かれているか」だけです。

また「16社が行政書士に一切触れていない」わけでもありません。実際には、行政書士という語は出てくるのに、誰がその行政書士なのかが分からない書き方が複数ありました。次がその実例です。

読むときに紛らわしかった5つのパターン

いずれも調査中に実際に確認したものです。事業者名は出しません。特定の事業者を批判するためではなく、読者が公式サイトを読むときの目印にしてもらうために整理しています。

1. 「行政書士による代行」とだけ書いてある

サービス内容の一覧に「墓じまいの手続き(書類手続きのアドバイス・行政書士による代行)」と書かれている例です。行政書士が関わることは分かりますが、自社の行政書士なのか、外部に依頼するのかが分かりません。この1社は当サイトでも「言及はあるが判別できない」という区分にしています。

2. 「有資格者が在籍」だが、資格の中身が別

同じ事業者のページに「有資格者が在籍しています」という記載がありましたが、挙げられていた資格は終活カウンセラー、終活ライフケアプランナー、廃棄物管理士でした。行政書士ではありません。「有資格者」という言葉だけで判断せず、資格名まで読む必要があります。

3. 費用比較としての言及

「行政書士に依頼すると相場は50,000〜80,000円程度かかります」という記述です。これは読者が自分で行政書士に頼んだ場合の費用の話で、その事業者の体制の説明ではありません。文脈を取り違えると「この会社には行政書士がいる」と読んでしまいます。

4. 「行政書士からのご相談を頂いています」

行政書士が顧客側という意味の文でした。提携関係の説明ではありません。

5. 「行政手続き代行」とだけ書き、資格者に触れない

最も多いパターンです。「面倒な行政手続きも代行します」と書かれているものの、それを誰が行うのかの記載がありません。

だから、この一言を聞けば済みます

公式サイトを読み込む必要はありません。見積を取るときに、こう聞いてください。

「改葬許可申請書の作成は、どなたが行いますか」

自社の行政書士が行う、提携している行政書士に依頼する、書類の書き方をご案内するので申請はご自身で行っていただく——どの答えでも構いません。はっきり答えられるかどうかが確かめたい点です。答えが曖昧なまま契約すると、後で「その部分は自分でやることになっていた」という食い違いが起きます。

なお、遠方のお墓の場合はここが日程に直結します。編集部が12自治体を調べたところ、郵送申請ができたのは7自治体、電子申請ができたのは2自治体だけで、1自治体は「郵送での申請は受け付けておりません」と明記していました。誰が申請するかは、誰が窓口に行くかの問題でもあります。詳細は改葬許可申請の自治体別データをご覧ください。

資格以外に、公式サイトで確認できること

当サイトは掲載事業者について次の項目を公式サイトで確認しています。どれも「どの事業者が優れているか」ではなく、自分の条件に合うかどうかを見るための項目です。

施工体制(自社施工か、提携石材店か)

撤去工事を自社で行うのか、地元の石材店に手配するのかで、金額の内訳と工期の見通しが変わります。どちらが良いという話ではなく、遠方の墓地では地元の石材店に手配する形が合理的なこともあります。明記しているかどうかを見ています。

追加費用が出る条件を公開しているか

重機が入らない、傾斜地、区画が広い、といった条件で金額は動きます。この条件を先に公開している事業者は、見積後の増額でもめにくいと考えられます。当サイトではこれを事実のバッジとして表示しています。

見積は無料か、現地調査をするか

写真での概算見積だけの事業者と、現地を見てから出す事業者があります。現地調査があるほうが金額のずれは小さくなりますが、日程はかかります。

対応範囲がどこまでか

撤去工事だけなのか、改葬許可申請・閉眼供養の手配・納骨先の紹介・遺骨の洗浄や粉骨・一時預かり・仏壇の処分まで含むのか。含まれない作業は自分でやることになります。ここを確認せずに総額だけ比べると、安く見えた見積のほうが手間が多い、ということが起きます。

料金の公開状況

今回の20社は、料金を公開している事業者が多数でした(公開14社、一部公開5社、非公開1社)。ただし公開されている価格の単位が面積単価・サイズ帯の一式・プラン一式・運搬車両サイズ別とバラバラなので、金額だけを横に並べても比較にはなりません。詳しくは墓じまいの費用で分解しています。

離檀の交渉を頼むことについて

20社のうち1社が、離檀交渉の代行を実績件数付きで明記していました。

寺院との話し合いが負担なのは理解できます。ただ当サイトは、離檀料に法的な支払い義務があるかどうかを断定しませんし、事業者が交渉を代行することの適法性についても判定しません。他人の法律事務を報酬を得て代理することには弁護士法上の論点があるためです。

金額の妥当性で対立していたり、支払いを求められて困っている状況であれば、代行業者ではなく弁護士など適切な専門家に相談することをおすすめします。当サイトが記録するのは「そう書いてあるかどうか」だけです。

まとめ: 順番はこれです

  1. 改葬許可申請を誰が行うかを確認する(20社中16社は在籍・提携を明記していない)
  2. 対応範囲を確認する。含まれない作業は自分でやることになる
  3. 金額の単位を確認する。面積単価か一式かで比較の仕方が変わる
  4. 追加費用が出る条件を先に聞く
  5. 納骨先のプランを確認する。総額の差はほとんどここで決まる

当サイトでは掲載事業者を、行政書士の記載・料金の公開状況・追加費用の条件の明記・自社施工の明記・全国対応といった事実で絞り込めるようにしています。順位は付けていません。掲載事業者の一覧からお試しください。

この記事の情報について

調査日は2026年8月10日、対象は墓じまい代行事業者20社で、情報源は各社の公式サイトのみです。第三者のまとめ記事やランキング記事は情報源にしていません。掲載事業者は今後増えるため、社数は変わります。

各社の記載は変わることがあります。契約前に必ず事業者へ直接ご確認ください。当サイトの調べ方は掲載の方針に、運営者は運営者についてに記載しています。